写真家と写真ファンのためのフォトフェスティバル「STEP OUT!」。豪華ゲストによるポートフォリオレビューのほか、トークショー、セミナー、IMA Photo Marketなどの盛りだくさんのコンテンツをお届けします。
「境界線のない写真」
川島小鳥(写真家)× 奥山由之(写真家)supported by EYESCREAM
8月22日(土)12:00-13:30
定員:50名
参加費:一般 1,500円、雑誌『IMA』定期購読会員 1,200円
被写体の瑞々しい瞬間を捉え、人々を笑顔に変えるポートレイト写真で人気を博す川島小鳥と、観る者の感情を刺激する、先鋭的で斬新な作風で話題を呼ぶ奥山由之。アートのみならず、映画、音楽、芸能、ファッションなどさまざまなジャンルの垣根を越え、独自のビジュアルランゲージを発信するふたりは、自身の作品作りとコミッションワークの両方においてシャッターを切る時の感覚に違いは「ない」と断言します。
今回のトークショーでは、ふたりの「作品」と「コミッションワーク」を混ぜ合わせた400点を越える写真をスライドショーで流しながら、撮影のときの高揚感など撮る側としての感覚、コミッションワークに対する姿勢、写真の魅力や可能性についてお話いただきます。作風が異なりながらも共通項を感じるふたりの視点を、写真と対話から紐解いていきます。観る者を魅了してやまない、気鋭の写真家による初対談をお見逃しなく!
川島小鳥
1980年、東京都生まれ。2003年、早稲田大学第一文学部仏文科卒業後、沼田元氣氏に師事。2006年、ひとりの少女を4年間撮り続けた作品『BABY BABY』で、第10回新風舎平間至写真賞大賞を受賞し、翌年に同タイトルの写真集を刊行。その他の著書に、『未来ちゃん』、『おやすみ神たち』(谷川俊太郎との共著)、『明星』などがある。『未来ちゃん』で第42回講談社出版文化賞写真賞、『明星』で第40回木村伊兵衛写真賞を受賞。
奥山由之
1991 年生まれ。大学在学中の 2011 年に、第 34 回写真新世紀優秀賞受賞。 写真集に『Girl』(PLANCTON)、『A REAL UN REAL AGE』(パルコ出版)がある。今年末に、3年ぶりとなる写真集の出版と、初の大型個展を開催予定。
「写真表現におけるアウトプットの方法論」
伊丹豪(写真家)× epSITE
supported by エプソン
8月22日(土)14:30-16:00
定員:50名
参加費:無料
※当日参加をご希望の方は、直接会場へお越しください。
ここではプリンターを使った自身の写真表現の適切なアウトプットについて、精力的に作品を発表し続ける写真家、伊丹豪を迎えたセミナーを開催します。伊丹豪にとってプリントとして写真をアウトプットする意義やこだわり、デジタル技術が発達する時代にあえて“プリントすること”の必要性、またポートフォリオを作成するためのキーなど、様々な選択肢のなかでどのように適切に写真をプレゼンテーションするのかについてレクチャーします。 プリンティングにおけるポイントや方法論など、技術的な話も含めた、写真のアウトプットの方法論を探っていきます。
伊丹豪
1976年徳島県生まれ。個展に「study」(epSITE/2014年)、「RODIN / starman」(中之島バンクス de sign de/2015年)、グループ展に、SPACE CADET Actual Exhibition #1」(ターナーギャラリー/2012年)などがある。2013年に写真集『Study 』(RONRADE)、2014年に『this year's model』を刊行。東京、大阪、台湾、ベルリン等国内外問わず展示多数。
「セルフパブリッシュで広がる写真集の可能性」
ブルーノ・ケシェル(「Self Publish, Be Happy」主催、ライター、キュレーター、) ナビゲーター:タカザワケンジ(写真評論家)
8月23日(日)12:00-14:00
定員:プレゼンテーション有 5名、プレゼンテーション無 40名
参加費:下記に記載
プレゼンテーション有
一般 3,500円、雑誌『IMA』定期購読会員 3,000円
プレゼンテーション無
一般 1,500円、雑誌『IMA』定期購読会員 1,200円
※当日参加をご希望の方は、若干数当日券をご用意しております。
昨今の世界的セルフパブリッシングブームの火付け役のひとりとも言える、ロンドンで「Self Publish, Be Happy」を主宰するブルーノ・ケシェル。ここでは、前半にケシェルが唱えるセルフパブリッシュの方法論とハウツーを、後半には参加者の持ち寄ったダミーブック、自身の写真集、またはポートフォリオを公開レビューする形で、より具体的にワークショップ形式で学んでいきます。
今秋、Aperture社からセルフパブリッシングに関するDIYブックも刊行するケシェルは、世界中のセルフパブリッシングの写真集を見てきたほか、若手写真家の発掘にも力を入れています。また自身も出版を行なっており、その審美眼とクオリティの高さは高く評価されています。
参加者のうち「プレゼンテーション有」を申し込んだ5名の方は、実際に自身の制作予定のダミーブック、ポートフォリオ、またはこれまでに作った写真集のプレゼンテーションに対する講評の機会を得ることができます。写真集の中での自身の写真の最適な表現方法を見つけることが、より多くの人を魅了することへとつながっていくはずです。
Self Publish, Be Happy
ブルーノ・ケシェルが2010年にロンドンで設立。ワークショップ、イベントやさまざまなプロジェクトを通して、セルフパブリッシングの写真集を収集、研究し、世に知らしめている。実験的かつ柔軟に写真メディアを楽しみ、さらなる進化を遂げる次世代の写真家によって世界に発信するオンラインコミュニティをリアルに表明するプラットフォーム。
ブルーノ・ケシェル
Self Publish Be Happy主宰、ロンドン芸術大学講師。若手写真家の活動を支援する団体「Self Publish,Be Happy」の主宰者として、The Photographers’ Gallery、ICA、C/O Berlin, Aperture Foundationなどで数々のイベントを開催する。また、当団体の出版レーベル「SPBH Editions」からは、 アダム・ブルームバーグ&オリバー・チャナリンやルーカス・ブレイック、ロレンツォ・ヴィットゥーリらの写真集を刊行。『Foam』、『British Journal of Photography』、『Aperture』などさまざまな写真雑誌に寄稿し、今年9月には著書『Self Publish, Be Happy』をAperture Foundationから出版予定。
タカザワケンジ
写真評論家、ライター。1968年群馬県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。会社員を経て、97年からフリー。『アサヒカメラ』『写真画報』『芸術新潮』 『IMA』などの雑誌に評論、インタビュー、ルポを寄稿。単行本では中島らも対談集『なれずもの』の写真撮影および編集協力。高梨豊著『ライカな眼』、田中長徳著『銘機礼賛3』の編集を担当。『Study of PHOTO -名作が生まれるとき』(ビー・エヌ・エヌ新社)日本語版監修など。
「アート写真をめぐるマーケット最前線」
クリストフ・ギイ(Christophe Guye Galerieディレクター)×石井孝之(タカ・イシイギャラリー代表) ナビゲーター:太田睦子(『IMAエディトリアルディレクター』)
8月23日(日)15:00-16:30 定員:50名
参加費:一般 1,500円、雑誌『IMA』定期購読会員 1,200円
※当日参加をご希望の方は、若干数当日券をご用意しております。
スイスのチューリッヒで写真ギャラリーChristophe Guye Galerieのディレクターを務め、パリフォトを始めとする数々のフェアにも毎年出展するクリストフ・ギイと、日本を代表する写真ギャラリーであるタカ・イシイギャラリー代表、石井孝之によるトークセッション「アート写真をめぐるマーケット最前線」。
鈴木理策、川内倫子から、若手作家である田口和奈、Kosukeなどの日本人写真家も数多く取り扱うChristophe Guye Galerie。一方、タカ・イシイギャラリーでは森山大道や荒木経惟を始めとした、多くの日本人写真家を世界のマーケットへと紹介してきました。彼らが現場の最前線で見てきた、これからの写真マーケットの行方、そして日本写真のおかれている現状、写真家が世界で渡っていくため必要なことなど、実践的な事例を交えて話していきます。世界の写真マーケットのリアルな現状から、作品セールスという観点で写真家にとって学ぶべきことは何かなど、普段なかなか聞くことの出来ないプロの話が満載。この機会にぜひご参加ください。
クリストフ・ギイ
1990年から2004年までチューリッヒのBoard Guye & Partner Advertising LtdのCEO兼チェアマンを務めた後、2005年から2008年までロサンゼルスSCALO/Guye Galleryのオーナー兼ディレクターを務める。その後、チューリッヒのZur Stockeregg GalerieのディレクターやFoundation Tichy Oceanのキュレーターを経て、2010年よりチューリッヒを拠点とするギャラリーChristophe Guye Galerieのオーナー兼ディレクターとなる。現在は鈴木理策、川内倫子などの日本人写真家も取り扱っている。
石井孝之
1963年東京生まれ。1982年に渡米。ロサンゼルスのOtis College of Art and Designで学ぶ。日本のアート業者向けに現地の作品を買い付け、自身でもコレクションを始める。帰国後、1994年に豊島区大塚にタカ・イシイギャラリーをオープン。新川、清澄白河を経て、今年は北参道に移転。2008年、「タカ・イシイギャラリー 京都」をオープン。2011年2月、「タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム」をオープンした。主な取り扱い作家は、荒木経惟、森山大道、木村友紀、村瀬恭子、トーマス・デマンド、エルムグリーン&ドラッグセット、スターリング・ルビーほか。
「新しい写真言語の向かう先」
横田大輔(写真家)×マーク・フューステル(キュレーター、ライター)supported by twelvebooks
8月23日(日)17:30-19:00
定員:50名
参加費:一般 1,500円、雑誌『IMA』定期購読会員 1,200円
※当日参加をご希望の方は、若干数当日券をご用意しております。
パリを拠点とし、さまざまな写真の分野で活躍するインディペンデントキュレーターであり、ライターでもあるマーク・フューステルと、いま最も注目を集める若手写真家のひとりである横田大輔とのトークイベントを開催。
横田大輔は、2013年にオランダの写真雑誌『Foam』の「Talent Issue」に選出され、2015 年にはフォトロンドンでJohn Kobal Awardの初代受賞者となるなど、欧米で高く評価されています。このトークイベントでは、最新作『TARATINE / 垂乳根』に至るまでの作品の変遷や、伝統的な“私小説”写真集のコンテクストをなぞりながら、横田のインスピレーション源や制作のモチベーションについて探っていきます。また日本写真が海外の中でどのように受け入れられているのか、そして沸騰する写真集ブームと写真家のステップの関係性、そして現代写真の現在についてもフォーカスしていきます。
9月にニューヨークの出版社Session Pressより刊行される横田の新作写真集『TARATINE / 垂乳根』に寄稿するフューステルはこう記します。
「中平や森山は、身の周りで起きている激動を捉え、それを反映する新しいラディカルな写真言語をつくり上げるために、既成の構造や枠組をたたき壊し、写真をその根底まで揺るがした。一方、横田はそれとは全く違う方向に写真を探求する途を求めた。彼の作品は、社会的あるいは政治的なものではなく、個人的で感情的なものが契機となっている。それは、稀に見る説得力のある方法で、感情と衝撃の両方を解釈することが出来る能力と豊かな感受性の証左である」(『TARATINE / 垂乳根』あとがきより)
横田の作品は、日本写真の伝統といまを繋ぐ重要な存在と位置づけられています。新風の台頭によって、日本写真は歴史は紡がれ、新たな文脈へと受け継がれていくのです。注目すべき二人の対話が聞ける貴重な機会です。
書籍概要
タイトル:TARATINE / 垂乳根 著者:横田大輔
ソフトカバー / 160 ページ / 216 x 279 mm / カラー & モノクロ
発行元:Session Press 500部限定発行 予価:11,000 円(税抜) 9月中旬販売開始予定
スペシャルプレオーダー価格:10,000円(税抜)※イベント会場でのみ受付可
横田大輔
1983年、埼玉県生まれ。日本写真芸術専門学校卒業。2008年「キヤノン新世紀」佳作、2010年「第2回写真1_WALL 展」グランプリ受賞。2013年、アムステルダムの「Unseen Photo Fair」において「The Outset I Unseen Exhibition Fund」初受賞者となり、 2014年にFoam写真美術館(アムステルダム)にて個展を開催。同年、写真集『VERTIGO』が、Aperture Foundation PhotoBook Awardsにノミネートされる。2015年、フォトロンドンにおいてJohnKobal Residency Awardを受賞。2015年7月から9月まで開催中のアルル国際写真フェスティバルでの「Another Language」展に参加。
マーク・フューステル
パリを拠点とするインディペンデントキュレーター、ライター、編集者。日本写真を専門とし、『日本の自画像-写真が描く戦後 1945-1964』(世田谷美術館)、『Tokyo Stories』(Kulturhuset, Stockholm)、『Eikoh Hosoe: Theatre of Memory』(Art Gallery of New South Wales, Sydney)などのキュレーションを手がける。また『European Photography』『The Eyes』『Foam』『Polka』『IMA』など、数々の写真誌へも寄稿する。
「New Japanese Photographers 日本の新進写真家たち vol.2」
大矢真梨子/清水はるみ/菅井健也/中野美登樹/桃井敦史
清水はるみ
フォトフェスティバル「STEP OUT!」の開催とあわせて、5名の日本の新進写真家たちによるグループ展を開催致します。写真雑誌『IMA』では、「STEP OUT!」という特別冊子を毎号制作し、これまでに多くの日本人写真家を紹介してきました。また毎年1回、ポートフォリオレビュー「STEP OUT!」を開催し、そこでは世界へ羽ばたく写真家を発掘しています。この展覧会では、こうした活動の集大成として、豊かな才能との出会いの場を創出します。飛躍の場である「STEP OUT!」を立体化するためのこのフェスティバル内で、5名の選りすぐりの新進作家で構成するグループ展を開催致します。
大矢真梨子
菅井健也
中野美登樹
桃井敦史
目の前を過ぎる風景と向き合いながら瑞々しい瞬間を捉える大矢真梨子、アイスランドの風景や記憶を氷によって閉じ込めようとする清水はるみ、ストリートに彷徨う光の残像をコンセプチュアルに捉える菅井健也、写真を通して時間や物語を生み出す中野美登樹、現実世界とイメージとの関係性を捉え直そうとする桃井敦史ら、5名が参加します。現代における写真表現の感性、そしてこれらの可能性に満ちた息吹を存分に感じることができる、注目の若手たちの作品をぜひご高覧下さい。
写真雑誌『IMA』では、「STEP OUT!」というバイリンガルの特別冊子を毎号ブックインブックとして制作し、これまでに多くの日本人写真家を国内外に紹介してきました。また毎年1回、ポートフォリオレビュー「STEP OUT!」を開催し、世界へ羽ばたく写真家を発掘する試みを行なっています。今年はフォトフェスティバルとして、さらに規模を拡大して立体化し、写真を楽しむすべての人のための多角的な場を展開します。
お問い合わせ:stepout@imaonline.jp